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2006年末に発売して以来、いわゆる「腐女子」や「歴女」と呼ばれる人種の一部から、今なお好意的に評価され続けている『BL新日本史』 。
その内容がいかに杜撰で、作者の勝手な思い込みに彩られているかを徹底的に暴き立てた本。
2010年2月14日・初版。頒布価格500円。
「史実をもとにしたフィクション」に過ぎない『平家物語』を根拠に、
「義経と弁慶はゲイカップルだった!」
と主張してみたり。
熊倉功夫先生や南方熊楠先生といった優れた先学の文章を、恐らくは意図的に曲解したあげく、
「茶道とはセクシャルな営みなのだ!」
とブチ上げてみたり。
なぁんて知性も良心も不足している紙束で、「歴史の真実」なんざ学べるわけがねえんだよバーロー!
こんな代物がもてはやされている限り、「オタクという生き物は二次元と三次元の区別がつかない! キモい!」みたいな巷間の偏見は、広がることさえあれ決して沈静することはないでしょう……
っつーことを、切々ネチネチと訴えております。
また、出版に至る詳しい動機についてはこちら もご参照のこと。
2010年2月14日・初版。
頒布価格500円。
(現在は頒布終了・絶版)。
2010年に発行した手作りコピー誌の総集編。
内容は……
☆大江戸秘密玩具!
(数百年前のアダルトグッズ紹介)
☆『古事談』
(平安セレブたちの醜聞)
☆下品なるかな源内
(平賀源内の凶悪な才能)
☆J・C・S・O<ジャパニーズ・クラシカル・ショタコン・オペラ>
(能楽すなわちショタコン芸術!)
☆『大東閨語』
(でっちあげエロエロ偉人伝)
☆付録・古典に見る『ロリ魂』!
とまあ、こんな感じ。
頒布価格800円。(現在は頒布終了・絶版。その魂は『新装版』に継承されました)
2008年のコピー誌総集編たる『日本のBL古典』と、2009年のコピー誌の総集編たる『日本のBL古典・弐』とを合体させたもの。
内容は……
☆『弘稚聖教秘伝』
(平安時代・ショタコン僧侶のための床入指南書)
☆『稚児草紙』
(鎌倉時代・イラスト付BL小説)
☆『好色訓蒙図彙』
(江戸時代・エロ風俗の百科事典)
☆『痿陰隠逸伝』
(江戸時代・平賀源内による男根原理主義エッセイ)
☆『いぬつれづれ』
(江戸時代・男×男カップル向け恋愛エッセイ)
☆『女大学玉手箱』より『若衆仕立様の事』
(江戸時代-実践ショタ調教指南)
☆『新小夜嵐』
(江戸時代-性悪ショタコンが堕ちる地獄)
☆『男色山路露』
(江戸時代-イラスト付BL小説集)
☆『あなをかし』
(江戸時代-大人のための衆道ジョーク集)
☆ 付録・ホモ和歌in勅撰和歌集
こんな感じ。
また、
(以下は、12月31日に頒布した『(前略)伝統オタ舞台』の補遺ペーパーと同内容です)
えー、この度は本書をお買い上げいただき、まことにありがとうございます。
締め切りの都合上、本文中で使われる舞台用語について注釈を省いたまま入稿・印刷しちまったのですが……「そいつぁ流石に不親切すぎたかねぇ」と思い直し、これなるB5用紙の1枚をもって、応急の補遺とさせていただきたく候。
・「謡曲」(3ページ)
能の台本。いやまあ「能」と一口に言っても様々な種類があるんですが、基本的にゃシリアスな内容ばかり。また、激しいバトルシーンがある作品は少ない模様(例外は『正尊』ぐらい?)。
・「シテ」(4ページ)
能における主役。物語の中心。原則として、仮面を付ける(それゆえ「神」・「霊」・「鬼」など人間以外の存在や、「女」の役を演じる場合が多い)。
・「ワキ」(4ページ)
能における脇役。普通、仮面をつけずに素顔のまま舞台に立つ(それゆえ、「人間の男」の役を演じる場合が多い)。また、舞台上ではだいたい座ったままで、目立った動作を行うことも少ない。そんなわけで、本書のようにワキ役が暴れまわる内容は、正しく「伝統」に照らし合わせた場合、かなり破格にして例外的なんであります平伏。
・「地謡」(4ページ)
能におけるバックコーラス隊。ほとんどの場合、8名1組。謡曲中の「地の文」を謡うのが仕事。舞台向かって右側の「地謡座」というスペースが定位置。
・「常座」(4ページ)
舞台向かって左側奥のスペース。シテが登場する時や、ワキと会話する時などは、ここに立つことが多い。
・「大小前」(5ページ)
舞台の中央奥。
・「狂言」(8ページ)
「観客を笑わせる」ことを目的とする古劇の総称。横文字で言うなら「コント」ないし「コメディ」が近い意味か。
以下、小学館『新編古典文学全集58 謡曲集①』より、能と狂言の違いについての説明を、引用させていただきます。
能が主として歴史や伝説・物語に題材をとり、神や鬼また著名な人物をシテとして、シテ一人に焦点をしぼり、謡(うたい)でその心情を表現することが多いのに対し、狂言は世間一般の無名の人を登場させ、二人あるいは数人の、当時における口語の対話としぐさによって、一種の喜劇を演じる。
(526ページ)
流石は専門家の文章、簡にして要を得まくってますな!
あ、登場キャラについては、確かに多くの場合「世間一般の無名の人」なんですが、「鬼」とか「狐」とか「狸」とか「閻魔大王」とかの人外キャラが出てくる狂言だって、それなりの数が残ってます一応。だからイカの化身だってアリですよね多分。
・「歌舞伎」(17ページ)
一言で説明するのが、激烈に難しい! 笑いあり、涙あり、場合によっては血湧き肉踊るアクションや背筋凍るホラー要素なども見られる総合エンターテイメント舞台……とでも言っておけばいいのかしらん。また時代が進むと共に、「回転舞台」や「役者の宙吊り」などの派手なギミックも取り入れられるようになりました。
・「下手」「上手」(18ページ)
芝居業界では、舞台向かって左側を「下手」、右側を「上手」と呼びます。
・「揚幕」(25ページ)
花道(後述)の突き当たり、役者の出入り口にある幕。開く時は、付けてある金輪が「チャリン☆」と高く鳴り、観客の注意をひきつける。
・「花道」(26ページ)
観客席を突っ切るように、劇場後方から舞台の下手へと伸びている道。世界演劇史上に類を見ない、歌舞伎に独特なる要素のひとつ。ストーリー上の重要キャラが登場する時などに使われる。
・「衆道」(29ページ)
つまり、「男同士の同性愛」のこと。
・「破礼」(29ページ)
早い話、「下ネタ」のこと。なお「衆道破礼歌舞伎」ってのは当方の造語で、そういうジャンルが伝統的に存在しているわけではありません悪しからず。
・「思い入れ」(36ページ)
その場の心情を、言葉ではなく仕草と表情で表現すること。
以上、本当に「必要最低限」すぎて申し訳ありませんが、まあ、少しでもご参考になれば……
今年の初めに、当方は下記のようなタイトルの記事を書きました。
内容は、まさに題の通り。
野暮で粗野な官憲どもによる「有害表現狩り」に対しブチ切れた、大正時代のとある碩学のお話でした。
で。
この文章の最後の方で、当方はこんなことも言いました。
>くだらん世の中ですよ、ほんと。
>進歩のない人間ばかりが集まって、進歩のない国を作ってやがる。
あれから12ヶ月。
この不快な感慨は、まことに残念なことながら、一段と大きな現実味を伴って、当方の体中の皮膚に鳥肌を立たせております。
まったく。
つまらん歴史ほど、容易に繰り返されるものです。
また、これまた残念なことながら。
規制に反対する人たちの中にも、ただ「感情の爆発」のみを武器としている向きが大勢いる。
冷静さを欠いた下品な罵詈雑言ばかりを、ただひたすらネット上にばらまいているだけでは……如何な問題とて一向に解決しないっつーの!
衆愚を衆愚で迎え撃ったところで、後には何も残りません。
日本が真の文明開化を迎えるまで、一体あとどれだけの時間がかかるのやら。
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