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秘本衆道会
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ミステリー・オブ・壇の浦

コミケに参加された皆様、まことにお疲れ様でした。

ビッグサイトがまるごと蒸し風呂と化した、あの劣悪な環境下、わざわざ弊サークルまで足を運んでくださった方々には……



毎度ながら感謝しまくり!


です。



「はじめまして」の方も、「おひさしぶり」の方も、果たして当方の本はお楽しみいただけましたでしょうか?


しばしなりとも炎暑を忘れられるような、愉快な気分をプレゼントすることはできましたでしょうか?


同人屋の本懐とは、まさに読者の笑顔にこそあり。

もし「このサークルは阿呆なことばっか書いてるやがるよなあウヒャヒャ」と珍奇がっていただけたなら、それは当方にとって無上の喜びでありますです。





さて。

イベント参加の楽しみは、本の売買のみならず、同好の士とリアルに語らいあうことにもあります。


先日のコミケにおいても、色々とレアな情報を交換しあう機会が多く得られました。


で。

とある来訪者の方とは、いわゆる「壇の浦もの」についてトークしたり。
そういう、今となってはほぼ忘れられたタイトルについて語り合えるたぁ……予想外の椿事!


コミケという巨大な「出会い」の場には、まこと感謝するばかり。



あ、ちなみに「壇の浦もの」ってのは何かと申しますと、すばりエロ小説のことです。
平家滅亡の一戦である「壇の浦の戦い」の前後を想像して書かれたもので、成立時期はおそらく江戸後期。

これ以上の情報については、



閑話究題 XX文学の館  



という素晴らしすぎる秘本研究サイト様の、



秘本縁起 「壇ノ浦」もの



というコンテンツにて詳述されていますので、是非ぜひ!そちらもご参照いただきたく。




上掲リンク先でも知れるように、この「壇の浦もの」に属するタイトルは、例えば『源平情史』とか、『壇浦快戰記』とか、『壇の浦夢物語』とか、とにかくやたらたくさんある。
どれも題名こそ違えども、扱うカップリングが「源義経×建礼門院徳子」という点は共通しています。


このうち、当方が所持しているタイトルは『源平盛衰記・壇の浦戦記』です。
『日本珍書復刻集』という、出版年不明の怪しい小冊子(たぶん昭和20年代あたりの地下出版物)に収められているのですが、そのまえがきにおいて、正体不明の編者いわく



「壇の浦」と称する猥本が沢山出て居る私の知って居るものでも十二種からあつた


(注・途中で読点が抜けてるっぽい箇所がありますが、原文ママです)



っつーわけで、この「壇の浦もの」というジャンルは、江戸時代の人々の間では結構な人気だったのではないか!


と、当方は思っておりました。


それでまあ、8月15日のコミケにおいても、


「当時における『壇の浦もの』の位置は、現代オタク界における『けいおん!』のごとし!」


なんて力説したりもしました。

今のオタクがこぞって『澪×律』にMMQであるように、昔の戯作者たちも『義経×徳子』にハァハァしまくってたんだよなんだってー!


みたいな。





しかし。

ところが。


秘本縁起 「壇ノ浦」もの



において紹介されている各書の画像を眺めているうちに、ひとつの恐るべき事実に気づいてしまいました……


すなわち……







表紙とタイトルは別物なのに、中身が全く同一の書がたくさんあるじゃねぇか!






ぎゃー!



先ほど申しました通り、当方の手元には『源平盛衰記・壇の浦戦記』があります。
その書き出しは



平軍悉く潰ゆ。源廷尉已に乗余の在る所を知り、軍を合せて疾く攻む。



です。
この後、入水自殺を試みて果たせなかった徳子が、義経に「こんなところで死んだらもったいないぜベイビィ! がんばって生き延びて、俺といっしょに楽しいコトしようぜ!」と慰められ(口説かれ)るわけですが……


そのあたりの文章が、『六法戰術』や『壇の浦夜合戰記』と完全に一致してるんですよ。

たぶん、その後のページも同じ文章がヅラヅラ続いているんでしょうなあ……


また漢文で書かれた『壇浦快戰記』も、書き下し文にしてみれば、やっぱり上記3冊とピッタリ相似を成す……っぽい。


さらに『はつはな』の文章は、『源平盛衰記・壇の浦戦記』などのグループとは違った始まり方をしてはいるものの、また別の『平大后快話』なるタイトルとは非常によく似ている。




はてさて?
これは一体、どういうことなんじゃろか?



「壇の浦もの」のタイトルとして最も有名なのは『壇の浦夜合戦記』なんですが、(何度も引き合いに出して恐縮ながら)『XX文学の館』 内の



「壇ノ浦」 公刊本編



によれば、それは戦後になってから考案された題らしく。


つまり、原題不明なオリジナルの文章に対し、後世の人間が好き勝手にバラバラなタイトルを付けたんじゃないか説。
ちくしょー、なんて紛らわしいことしやがんだカストリ業者ども!



ゆえに当方、つい先ほどまで、それぞれのタイトルについて中身もまた別モノだと思い込んでしまっていたわけで。

いやー間抜けの親玉!



そんなこんなで。
上述のごとき「ジャンル冊数の水増し」が行われてきた以上、「壇の浦もの」が本当に『けいおん!』レベルの巨大ジャンルであったかどうかについては、より一層の調査を経た上でなければ結論を下せません。



ここをご覧になっているかどうかは分かりませんが、コミケでお会いした「壇の浦もの」ファンの方には、不確かな情報を喋ってしまったことをお詫び申し上げます。



また「壇の浦もの」に関して、「他にもこんなバリエーションを知っているよ!」という方がいらっしゃいましたら、色々ご教示いただければマジ幸甚です。


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by hihonsyudo | 2010-08-16 23:28 | 歴史・古典よもやま話 | Trackback | Comments(0)
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