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秘本衆道会
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追悼

今年2月、浅草橋で開催された「ショタスクラッチ」に参加した時のことでした。

当方のすぐ隣のスペースには、いかにも「バリバリ漫画描くぜオラ!」的なエネルギーを感じる男性と、なんだか場の空気にあんまりそぐわない老紳士のふたり組がいらっしゃいました。

で、その老紳士、お話してみるとやたら江戸の文化史にお詳しい!

「火事と喧嘩は江戸の華」の後に続く文句の話とか、田中久重が造ったカラクリ人形のこととか、すごーく面白くてためになる話をいっぱい聞かせていただいた。


さらに老紳士、当方の出し物を見て、「君の書くものもなかなか面白いね。歴史モノの雑誌に載せたら結構受けるんじゃないかな」なんてありがたい言葉をおっしゃってくれる。


おおおおおこういう教養ある方に興味を持っていただけるとは!と思いがけず舞い上がったわけですが……



真の驚愕は、その後にドズッ!とやって来た。


若い方の男性が、その老紳士の名を紹介していわく。



「あ、そうそう。この人はね……みやわき心太郎先生っていうんです」








ええ、ええ、リアルで奇声を発しましたとも。


そう!
あの!
伝説の官能劇画『レイプマン』の作者ですよ!
同時に、甘酸っぱい青春浪漫『はつ恋アルバム』の作者でもある!

幼い頃の当方に、「漫画」という表現形態の多彩さをトラウマ的に叩き込んでくれた、みやわき先生その人!


そんな漫画界の生ける伝説が、お知り合いである同人サークルの手伝いアンド物見遊山のために、ショタオンリーに降臨されていたのです。



それからのことは、あんまりよく覚えてません。
とにかく湧き上がる興奮にうかされるまま、本朝文化史・劇画史トークの花を咲かせまくっていたら、あっという間に閉場時間が到来していたのでした。



と、まあ。


木っ端同人屋の身にはそぐわぬ、あまりにもドリーミィな椿事だったもんで、イベント終わって帰宅してからもしばらく「あの場で体験したのは、リアルな出来事じゃなくて単なる白昼夢だったんじゃないか」という疑いが抜けなかったのですが……



後日、みやわき先生のmixi日記で当方のことが紹介されていることを知り、またしても奇声と共にガッツポーズですよガッツポーズ!


そのありがたすぎる記事は、


「ピコピコカルチャージャパン」様


というサイトに転載されているので、そこから一部を孫引きさせていただきます。




>お隣のブースで「修道士ペドフェチ」と云う方が、
>「日本のBL古典」を売っていて、
>名刺代わりに売り物の作品集をくれた。


>女色を禁じられている坊さんが、
>稚児を代用品にする際、
>大人の男性器を受け入れられる様にする為に
>肛門を大きくする術や行為の
>マナーが書いてあったりする。
>(「好色一代男」どころか「レイプマン」も真っ青!!)


>おかげで、降りるべきバス停を乗り過ごしてしまった。(苦笑)





みやわき先生ほどの人物が!
当方の本を読みふけるあまり!
バス停を乗り過ごした!



ぬおおおおおおおおおお!
超!
名!
誉!



ほんと、たとえ百回生まれ変わったとて忘れようの無い大武勲ですよ。
この記事を最初に読んだ時ゃ、なんか眼窩の奥に俄かな湿り気が篭もって篭もって……大変でしたよまったく。




それはさておき。
上掲日記が書かれたのは、今年の3月。
野暮で野蛮な「規制法」を東京都の議会が成立させようとしている!っつーカドで、漫画出版業界が青ざめまくっていた頃。
そんな時勢の中でみやわき先生は、「漫画」という表現にずっと関わってきた大先輩として、かくも先鋭的に「戦う意思」を表明してくださいました。
上っ面の薄っぺらい「良識」なぞクソ喰らえ、「同人誌文化」の自由を害する者こそが真に社会の敵だと、声を張り上げて叫んでくださいました。



なんて熱い67歳!



若オタ向けの低俗ショタエロ同人イベントにフラッと現われ、当方みたいな木っ端腐男子相手に、洒脱で知的なトークを披露する一方で。
真面目にシメるべき場面では、きっちりとシメる。



「粋な大人」、でした。



そんな敬愛すべき粋人が、世を去ってしまいました。



いつかどこかのイベントで再開して、もう一度『レイプマン』連載当時の裏話とか、次郎長講談に秘められた政治的意図とか、知的好奇心が刺激される話を聴かせてもらえたらなー……とかなんとか。
密かに、夢見たりもしていたんですが。
残念ながら、それはもう絶対に叶うことがありません。



現在ネット上の様々な場所で、みやわき先生に捧げられた追悼文を目にすることができます。
みんな口を揃えて、「すばらしい漫画家だった!」と、その早い死を惜しんでいます。


自分も、全く同感です。

ただただ、残念。



ご冥福をお祈りします。


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by hihonsyudo | 2010-10-13 22:23 | 日乗 | Trackback | Comments(0)
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